これは暗号資産(暗号通貨)テクノロジーそのものについての話ではない。確かに、その技術は魅力的だ。しかし、イリノイ州を巡るこの争いは、まさに「議論」と呼ぶにふさわしい要素に満ちている。「お金」「権力」「原則」──そして何よりも、「最終的な決定権を握るのは誰か?」という根源的な問い。
暗号資産業界を代表する二大団体、米国の「暗号資産イノベーション評議会(Crypto Council for Innovation)」と「ブロックチェーン協会(Blockchain Association)」が、イリノイ州政府を提訴した。理由は、同州が2024年初めから導入した「0.2%の暗号資産取引税」が、業界の根幹を揺るがす「違法で差別的な措置」だと判断したからだ。
原告側の主張によれば、この税は「連邦法違反」「デジタル資産の差別」「他州への悪しき先例」となる可能性があるという。 infatti、比較すればその不公平さが際立つ。暗号資産取引には税が課される一方で、株式や債券といった伝統的金融商品の取引は非課税。これはまるで、財布の中のお金を交換するたびに手数料を徴収されるようなものだ。ブロックチェーン協会のジェリー・ブリトー(Jerry Brito)氏はこう断言する。「この税は恣意的で、暗号資産だけを標的にした差別的な措置です。伝統的金融商品との扱いの違いは、法の下の平等に反します。」
暗号資産取引税の正体──「リスク管理」の名の下の財源確保?
イリノイ州政府はこの税の導入理由として、「暗号資産インフラの整備とリスク管理」を挙げている。確かに聞こえは良い。だが問題は、対象が「利益」ではなく「取引金額全額」に課される点だ。損失を出して売却しても、単に暗号資産を移転するだけでも、0.2%の税がかかる。まるで、為替手数料と同じような扱いだ。例えば、1万ドルのビットコイン取引なら、20ドルの税が徴収される。これでは、短期的なトレーダーや資金移動を行う企業にとって、大きな負担となる。
さらに、原告団体は「商品取引法(Commodity Exchange Act)」との抵触を指摘する。同法では暗号資産を「商品(コモディティ)」として位置付けている。ならば、小麦や原油と同じ扱いを受けるべきではないの
か? しかし、州政府の真の狙いは別にあった。税収は「一般財源」に組み込まれ、特定の暗号資産プロジェクトには使われない。環境税を導入して、そのお金で公務員の机を買うようなものだ。税法学者のアレクサンドル・パディラ(Alexandre Padilla)氏はこう批判する。「この税はリスク管理よりも、州の財源確保が目的です。」
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主導権を巡る攻防──州の権力 vs. 分散型イノベーション
二大団体はイリノイ州北部地区連邦地裁に提訴し、以下の三点を根拠に違憲性を主張している。
1. 連邦法違反(主権条項 Supremacy Clause):暗号資産が他の商品と異なる扱いを受けることが連邦法に抵触する。
2. 平等原則違反(合衆国憲法修正第14条 Equal Protection Clause):法定通貨(米ドル)の取引が非課税であるのに対し、暗号資産が課税されるのは不平等。
3. 経済的負担:中小企業やスタートアップにとって、コンプライアンスコストの増大は死活問題。「これは分散化への攻撃です」とブリトー氏は言う。「大手企業だけが生き残る構造を作り出します。」
驚くべきは、イリノイ州側の反論だ。財務長官セルヒオ・ロドリゲス(Sergio Rodriguez)氏は「暗号資産のボラティリティとリスクを抑制するため」と主張し、他州も同様の税導入を検討中だと明かした。だが、本当にリスク管理が目的なら、なぜ税収を特定のプロジェクトに使わないのか? 単に道路整備や公務員給与に充てるための「財源確保策」でしかないのではないか。
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業界の反撃──撤退と抵抗の動き
暗号資産業界は黙っていない。既にコインベース(Coinbase)やクラーケン(Kraken)といった大手取引所は、イリノイ州内のサーバー撤退や、新規顧客の受け入れ停止を検討していると報じられている。クラーケンの広報担当者はこう述べる。「私たちは、差別的な政策を行う州で事業を展開することはできません。」これは強いメッセージだ。企業が州内の活動を縮小すれば、雇用やイノベーション、そして州の評判に悪影響を及ぼす。長期的には、州経済全体の損失につながりかねない。
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今後の行方──全米の注目を集める裁判
この訴訟がどのような判決を下すかは、暗号資産業
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