地下文化からメインストリームへ、支配の影
かつて暗号通貨は簡単だった。怪しげな取引所でビットコインを買い、次のブームを待つだけ。DeFi、NFT、DAO──。そうしたプロジェクトは古い金融システムを回避することを目指していた。しかし、Terra/LUNA、FTX、Celsius──。次々と起きた大暴落の後、参加を望んだのはテック系の変人やリバタリアンだけでなく、銀行、ファンド、果ては国家までもが参加を希望した。ヒーヴァーのチームの分析は明確だ。投資額の87%がライセンスを取得した企業に流れた。もはや実験的なプロジェクトはなく、厳格なコンプライアンスと国家による監督が当たり前になった。
「Permissionless(参入制限のない)時代は終わった」──そう言うと、ヒーヴァーはオフィスの椅子に背を預けた。「大手プレーヤーたちは、規制によって単に金儲けができるだけでなく、より強力なコントロールが手に入ることに気づいた」。興味深い視点だ。かつて暗号通貨を脅威と見なしていた機関が、今ではその技術を利用してさらに強大な力を手にしようとしている。
誰が主導権を握るのか?
では、誰がお金を動かしているのか。2026年上半期の主な投資主体を見てみよう。
- BlackRock:資産運用の巨人である同社は、2026年上半期だけで3つの規制対象暗号通貨ファンドを立ち上げた。顧客の需要に応える形で数十億ドルが流入した。ゼロ金利の世界で新たな収益源はまさに「ゴールド」のような存在だ。
- Goldman Sachs:同社は「Compliant Staking(コンプライアンスを遵守したステーキング)」に注力している。一見地味な戦略だが、実態は機関投資家が
銀行規制に違反することなくイーサリアムから収益を得る方法だ。賢いやり方だ。
- UAEやサウジアラビアの政府系ファンド:これらのファンドが暗号通貨に投資するのは、技術への情熱ではなく、デジタル主権の獲得が目的だ。インフラを支配すれば未来を支配できる──米国や欧州にその支配権を握られるわけにはいかない。
時代の転換点:なぜこうなったのか
ヒーヴァーはその理由を指で数え上げる。
1. 規制の圧力
米国証券取引委員会(SEC)は近年、暗号通貨プロジェクトの多くを未登録の有価証券と位置付けてきた。同時にEUはMiCA規制を施行し、多くのプロジェクトにライセンス取得を義務付けた。ルールに従わなければ排除されるだけだ。
2. 収益の追求
伝統的な金融市場では金利がゼロに近く、ファンドは新たな投資先を模索している。規制された暗号通貨商品は流動性と安全性を提供し、まさに求められていた代替投資となった。
3. 詐欺事件のトラウマ
FTX、Celsius──。そうした大規模な破綻の後、投資家は安全性を求めた。規制された企業は預金保険やコンプライアンス体制、国家による監督といった「安全性」を約束した。
一般投資家に残されたもの
残念ながら、あまり多くはない。本当に儲かる大口取引は非公開で行われる。OTC(店頭取引)、プライベート・プレイスメント、クローズドなアクセス──。一般投資家に回ってくるのは、高リスクの非規制プロジェクトか、安全だが退屈なビットコインETFぐらいだ。
「Permissionless時代は機会の均等でもあった」──ヒーヴァーは言う。「だが今、暗号通貨は富裕層と権力者のゲームと化した」。厳しい判断だが、反論は難しい。
これからの未来:監督下のブロックチェーン?
最大の疑問は、ブロックチェーンは今後も必要なのかということだ。今やブロックチェーンは伝統的な金融システムの一要素に過ぎなくなるのか。一部の専門家は「ブロックチェーン・ウォッシング」という落とし穴を指摘する──技術は使われるが、厳格にコントロールされた条件下で。その一方で、ハイブリッド化の可能性を指摘する声もある。例えばライセンスを取得したDAOや国家承認のステーブルコインなどだ。
結論:夢は終わった
112億米ドルという数字は、単なる数字以上の意味を持つ。それは時代の終焉を示している。誰でも参加できたpermissionlessな
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